彼氏や彼女、友人などを自宅に招いたとき、
「居心地いいな」
「なんかずっといられる」
こんなふうに言われたら、ちょっとうれしいですよね。
せっかく人を招くなら、ただ「きれいな部屋」にするだけではなく、相手が自然にくつろげる部屋にしたいものです。
ところが、ここで意外な落とし穴があります。
「部屋をきれいにする = 居心地のいい部屋になる」とは限りません。
例えば、こんな部屋です。
きれいにしたのに「居心地がいい」と言われない例
あなたは友人を家に招くことになりました。
そこで朝から掃除をして、床をピカピカにし、テーブルもきれいに拭き、収納の中まで整理しました。
「これなら友人が来ても大丈夫」と自信満々です。
しかし、友人は部屋に入っても特に何も言いません。
しばらくして「ねえ、この部屋どう思う?」と聞いてみたところ、「う〜ん、そうだね…まあ、きれいだよね」という返事が返ってきました。
なんだかモヤモヤしてしまいました…
実はこれ、掃除が足りなかったわけではありません。
むしろ、部屋を「綺麗にすること」だけに意識が向きすぎて、違和感が生まれている可能性があります。
例えば、
・テーブルの上に何もなく私物を置きづらい
・インテリアを置きすぎて圧迫感がある
・生活に必要な物が見当たらない
このような部屋では、「きれいだけど落ち着かない」という現象が起こります。
またこのようなこともあるでしょう。
あなたは、モデルルームのような部屋を目指します。
床にもテーブルにも物を一切置かない、ミニマルな空間に仕上げました。
収納グッズを買い足し、生活感の出るものはすべて棚の中や見えない場所にしまい込み、リモコンひとつ、充電ケーブル一本すら表に出ていない状態を作り上げました。
友人を招いたとき、玄関を開けた瞬間「うわ、すごい、モデルルームみたい」と歓声が上がり、あなたは内心「やった、成功した」と誇らしい気持ちになりました。
ところが、しばらくソファに座って話しているうちに、友人はふと部屋を見回して「でも、なんかホテルみたいで落ち着かないかも」とぽつり漏らしたのです。
友人の立場からすれば、このような感想はあり得ることです。
住んでいる「その人らしさ」のある部屋は、どこか愛着が感じられます。
反対に、物を減らしすぎて個性まで見えなくなると、見た目は整っていても、どこかよそよそしく感じられることがあります。
つまり、片付けのゴールは「何もない部屋」ではないということです。
完璧に整った部屋でも、そこから暮らしの気配まで消えてしまえば、かえって人を遠ざけることにも成りかねません。
では、どうすれば「なんか居心地いいね」と言われる部屋を作れるのでしょうか。
居心地のいい部屋には「余白」がある
ひとつポイントとなるのが、部屋の中にある「余白」です。
ここでいう余白とは、部屋から物をすべてなくすことではありません。
家具やインテリア、生活に必要な物などは残しつつ、床やテーブル、ソファの周りなどにスペースを作ることです。
例えば、テーブルの上に郵便物や雑誌、リモコン、飲み物などがいくつも置かれていると、それぞれは必要な物でも、部屋がごちゃごちゃして見えてしまいます。
床に脱いだ服やバッグが置きっぱなしになっていたり、ソファの周りに物が積み重なっていたりする場合も同じです。
こうした物を片付けるだけでも、部屋には自然と余白が生まれます。

ただ、無理やり余白を作ろうとして、生活に必要なものや、普段置いてある生活必需品までなくしてしまわないように。
前例のように、何もないモデルルームのような部屋にしてしまうと、今度は生活感がなくなり、落ち着かない空間になることがあります。
ポイントは「物が少ないこと」ではなく、散らかっている物を減らして、「必要な物が適度にある状態」です。
お気に入りの家具やインテリアは残しつつ、
・ソファ周りは荷物を置かずゆったり座れるように。
・視線の先に物が集中しないようにする。
こうして部屋の中に適度な余白ができると、物の存在も引き立ち、空間全体がすっきりとした印象になります。
「なんか居心地いいね」と言われる部屋を作るなら、程よい余白があるかを見直してみることです。
「捨てられない人」ほど、居心地を目的にすると片付けやすい
では、「物を捨てるのが苦手」という人はどうすれば良いのでしょうか?
実は、物を捨てられない人はあなただけではありません。
少なくとも、日本だけでおよそ3人に1人は、「ものを捨てたいけど、まだ使えそうで捨てられない」という人が占めています。
さらに断捨離に関して言うと、およそ2人に1人(43%)の人が「断捨離の途中でやめた経験」があります。
理由としては、
「いつか使うかもしれない」
「もったいない」
「思い出がある」
「売ろうとしてやめた(お金にならない)」
「何から手をつけていいのか分からない」
などが挙げられています。
参考:ものを捨てられない人はどのくらいいるのか?フェルミ推定してみました
参考:なぜ4割もの人が断捨離を諦めるのか?捨てられないのは思い込みで問題は捨てる方法
つまり、
と言われても、誰だって簡単には捨てられない(捨てたくない)です。
そこで視点を変えて考えてみてください。
「捨てるかどうか」ではなく、「どのような空間にしたいか」に。

例えば、
「2,3人いてもゆっくり過ごせる部屋。」
「急な来客でも慌てて片付けなくて済むように。」
「毎日帰りたくなる落ち着いた空間に。」
「付き合ったばかりのあの頃のふたりのように過ごしたい。」
などなど。
すると、
ではなく、
という見方になります。
居心地の良い部屋を作るポイント
では、具体的にはどんな部屋を目指せばいいのでしょうか。
すでに軽く触れていますが、私なら、次のような部屋を意識します。
座ったときに視界がごちゃごちゃしていない
ソファや椅子に座ったとき、目の前に物が大量に並んでいると、部屋全体が落ち着いて見えません。
家具や収納、雑貨などが多すぎる場合は、まず「本当にここに置いておく必要があるのか」を考えてみましょう。
特に目線の高さに物が集中していると、部屋の印象は変わりやすいものです。
お気に入りの物だけを残して、その他の物を別の場所へ移すだけでも、視界に入る情報量は減ります。
ソファなど座るところの周りに物を置かない

友人や恋人が遊びに来たとき、実際に長い時間を過ごすのは床でも収納でもありません。
主にソファや椅子、テーブルの周辺です。
そこにバッグや雑誌、衣類、段ボールなどが置かれていると、せっかくの部屋でもくつろぎにくくなります。
「ここ座っていいよ」と言える場所を常に作っておくと、部屋の印象はかなり変わります。
テーブルを物置にしない
居心地のいい部屋を作るなら、テーブルの上は重要です。
リモコン、郵便物、薬、化粧品、仕事道具などが常に置かれていると、そこが「くつろぐ場所」ではなく「物を置く場所」になってしまいます。
もちろん、何も置いてはいけないという意味ではありません。
飲み物や小さな花、本など、そこで過ごすために必要な物だけがある状態のほうが、自然に座りたくなる空間になります。
置く場所が無ければ、箱の中に並べて入れておくだけで、整理されているように見えます。
観葉植物を置く
また家具のほか、観葉植物を置いてみましょう。
単に「おしゃれだから」という理由だけではなく、観葉植物は居心地に少なくとも影響を与えるからです。
人はパソコンやスマートフォンなどを長時間見続けていると、知らないうちに目と頭を使い続けています。
そんなとき、ふと視線を上げて緑が目に入ると、それまでとは違う視覚的な刺激が入ります。
観葉植物は部屋を飾るためだけのものではなく、知らずと内面から気持ちが落ち着く効果があるということです。
大きめの観葉植物を部屋の隅に一つ置く、小さな鉢を窓際に置くなど、部屋の余白を邪魔しない程度で十分です。
このような空間なら、すっきりしているのに温もりのある、自然と長居したくなる部屋に近づけられます。
照明を少し暗くしてみる

部屋を居心地のいい空間にしたいなら、照明にも目を向けてみましょう。
照明の色や明るさは、リラックスのしやすさにも関係しています。
実際に、リビングを再現した空間で照明の色や明るさを変えて、「くつろぎやすさ」がどのように変わるのか調査したデータがあります。
この調べによると、白っぽい光から暖かみのある光まで、いくつかの照明を比較したところ、照明の色によって「くつろぎ感」の数値に違いが見られたそうです。
特に、暖かみのある光と白っぽい光の中間くらいの照明で、くつろぎ感の数値が高くなっています。
引用:日本色彩学会誌「リビング照明の色度が室内印象に及ぼす影響」
照明により部屋が白く照らされているなら、少し明るさを落としたり、照明器具で部屋の一部をオレンジ色で照らすだけでも、落ち着いた雰囲気の部屋を作ることができます。
「好きな物」は残す
居心地のいい部屋にするために、あなたの好きなものは置きましょう。
思い出の写真や趣味のものなど、自分にとって大事なものまで全部隠してしまうと、「きれいだけど自分らしくない部屋」になってしまいます。
冒頭の例のとおり、家はホテルではありません。
多少の生活感があるほうが、その人らしさを感じられることもあります。
ちなみに我が家の場合、4人掛けの小さなテーブルの上には、妻が好きな花を飾って、隣にメダカの水槽を置いています。
植物もそうですが、生き物や水槽があるのも、なんだか不思議と心が落ちつくものです。
「居心地の良い部屋 = おしゃれ」を求めるのは後回し
居心地のいい部屋にしようと思ったら、まず「おしゃれに」と考えないことです。
家具を買い替えたり、インテリアを揃えたりする前に、今ある物を少し減らしてみる。
床に物がなく、座る場所があり、テーブルも使える。そこに自分の好きな物がちょっと置いてある。
これくらいの部屋のほうが、きっと「なんか落ち着く」と感じてもらえます。
最初から「おしゃれな部屋」を作るのではなく、まずは、人を呼んだときに
と言える部屋にする。
これくらいから始めてみると、片付けるべき物も意外と見えてくるのではないでしょうか。